2019年8月1日

開発の裏側:「GOロケット団」の実装

Pokémon GO

トレーナーの皆さん

「Pokémon GO Fest Chicago」での写真への映り込みや「Pokémon GO Fest Dortmund」に登場した気球、そしてニューヨークのヘラルド・スクエア付近のポケストップの乗っ取り…皆さんも知ってのとおり、『Pokémon GO』の世界に「GOロケット団」が襲来しました。シリーズでもおなじみのシンボル的な存在なので、機能そのものの面白さに加えて、それに見合うだけの盛大なお披露目が必要だと考えていました。私たちはこの新要素の開発にも大きく力を注いできました!今回は世界トップクラスの知名度を誇る悪の組織が、いかにして『Pokémon GO』に実装されたのか、その舞台裏を紹介します。

ひねりを加えた探索とバトル!

「GOロケット団」の根本的な設計思想は、これまでの『Pokémon GO』と同じです。つまり、プレイヤーが身の回りの世界を探索するよう働きかける、という考え方です。ポケストップで「GOロケット団のしたっぱ」に遭遇するようになることで、探索はよりスリリングなものになります。

「PvEとPvPの敷居を下げて、プレイヤーが遊びやすくなるようにしたかったんです。」(テクニカルリードマネージャー、Jake Jeffery)。この言葉が言い表しているように、『Pokémon GO』のバトルをもう少し取り掛かりやすくして、慣れていないトレーナーがおいてきぼりにならないようにしたいという思いが私たちにはありました。スワイプ方式のスペシャルアタックが同じタイミングで導入されたのも偶然ではありません。どちらも同じ開発チームの担当です!スワイプのジェスチャーへの変更は意図的であり、トレーナーの皆さんにもより気軽に楽しんでもらえるバトルになったのではないかと思います。

「GOロケット団」とのバトルをチームリーダーや他のトレーナーのバトルと差別化して、個性を持たせることも重要でしたが、トレーナーのポケモンバトルへの理解を深めてもらういい機会でもあると考えていました。「したっぱ」のチームがどういう構成かは、実際にバトルを始めてみないと正確にはわかりませんが、実はヒントが隠されています。バトル前のセリフをよく読めば、相手のチームのタイプが予想できるのです。つまり、相手のタイプとの相性を考えるきっかけを与えてくれます。これはポケモンバトルの基本中の基本ですね。

シリーズ作の要素に『Pokémon GO』のテイストを

「シャドウポケモンを出してはどうかというアイデアが出たとき、これはやらなきゃダメだと思いました」(フィーチャーリードプロダクトマネージャー、Philip La)。

「シャドウポケモン」と「ライトポケモン」の登場は、いくつかの意味でゲームを大きく変える変更です。様々なポケモンを集めたいトレーナーにとっては新たな魅力的なチャレンジになるだけでなく、強力なポケモンをゲットすることもできます。トレーナーにとって、『Pokémon GO』のリトレーンは、ポケモンたちと心を通わせる新しいプロセスとなります。リトレーンした「シャドウポケモン」はもとの状態に戻るのではなく、「ライトポケモン」に変化しますが、これは「シャドウポケモン」を救ったトレーナーの優しさと愛情が、そのポケモンを強くするからです。「こういった形をとることで、トレーナーは自分のポケモンがたどってきた旅路を思い出しやすくなるのではないでしょうか」(フィーチャーリード、Evan Moran)。

Evanは「したっぱ」たちのユニークなセリフも気に入っていました。何百というセリフと彼らのポーズ、表情、ビジュアルを通して、オリジナルの「ロケット団」の流れを汲んだ組織をうまく作れたのではないかと思います。オリジナルの雰囲気を残しつつ、『Pokémon GO』ならではのテイストもある。それが「GOロケット団」です。

「個人的に一番気に入っているのは、マップにNPCが出てくるところですね。これまではマップに自分以外の人物キャラクターが出てくることはほぼ無かったので」(リードゲームデザイナー、Matt Ein)。マップ上のトレーナーのアバターの横に「GOロケット団のしたっぱ」が現れると、実際に同じ世界にいるような感覚を与えてくれますね。

ゲーム開発はチャンピオンロードと同じ

ポケモンの旅にもチャレンジはつきもの、トレーナーのみなさんなら馴染みのあることかと思いますが、ゲーム開発もそれと同じことが言えます!「GOロケット団」の開発を進めるにあたって、ゲームバランスやビジュアル要素の優先順位といったチャレンジがありました。

ポケモンの強さの調整、今回のリリースでシャドウポケモンになるポケモンの選定、リトレーンのプロセスが既存のゲームにどう影響を与えるか…そういったさまざまな要素に考えを巡らせる必要がありました。それができたのは、トレーナーバトルを担当したリードゲームデザイナーが「GOロケット団」にも関わっていたおかげです!競争を楽しむプレイヤーからすると、強いポケモンを見つけたり、強化したりするゲーム体験が統一感あるものになっているはずです。

無数のストーリーが織り込まれたテスト

「GOロケット団」が最初に実装されたのは7月23日(火)でした。始めはほとんど出現しなく、次の日から徐々に出現しなくなりました。。このような出し方には、次の3つの狙いがありました。

まず始めに、新たな動きをほのめかす告知を構成するマーケティングキャンペーンと足並みを揃えていました。キャンペーン全体を、全世界で一進一退を繰り返す「したっぱ」たちを中心に展開させて、トレーナーの皆さんにもゲーム内と同じような体験をしてもらい、その興奮を味わってほしかったのです。

Pokémon GO

2つ目の狙いとして、この短期間でのリリースは技術的な立場から見ると、「GOロケット団」の新要素が実際の環境でどのように動くか、そのバランスを調整するためのテストでもありました。それまでは、市場調査や内部テストで、数十人のトレーナーだけで試していて、範囲も絞った上で色の変わったポケストップをテストしていました。この機能が完全に、世界中にリリースされたときに、想定通りに機能するかを確かめるため、テストする必要があったのです。おかげで、バトルの調整を行うことができ、「GOロケット団」のプレイ体験が全体的に向上したと思います。

最後に、「GOロケット団」の機能が実際どのように機能するのかを見る機会でもありました。テスト中に、もし意図しない使い方が出てきた場合、すぐに調整を行えます。例えば、「シャドウポケモン」の交換です。

もしシャドウポケモンが交換で「キラポケモン」になり、そのあとにリトレーンされた場合、評価の高いポケモンになる確率が非常に高くなることが改めて認識されました。本来ゲーム内で評価の高いポケモンを手に入れるには様々な努力やチャレンジが必要で、ゲームのバランスを維持し、トレーナーの皆さんが今まで評価の高いポケモンを見つけるのに費やした努力を無駄にしないようにするために、シャドウポケモンの状態では交換が出来ない仕様に変更しました。

「GOロケット団」の次なるわるだくみは…?

「GOロケット団」に対する皆さんの反響に圧倒され、苦労して取り組んできたものがトレーナーの皆さんに喜ばれ、楽しんでもらえる姿を見るのはやはり嬉しいものです。これからも皆さんに楽しんでもらえるすばらしい体験を作り続けていくうえで、何よりの励みとなります。さらにたくさんの「したっぱ」とのバトルや、救出を待っている「シャドウポケモン」との出会いが、トレーナーの皆さんを待っています。。ゆくゆくは見覚えのある人物と出会える可能性も…

それまでの間は、どんどん歩いて「GOロケット団」を倒していきましょう!『Pokémon GO』の世界の命運は、トレーナーの皆さんの活躍にかかっています!

—Pokémon GO開発チームより